コンセプト

インビザライン矯正を開始するにあたって、患者様の歯型データを採取する必要があります。当院では、3DデジタルスキャナーのiTero（アイテロ）を導入していますので、お口の中を粘土のような材料で歯型をとる必要がありません。

iTeroは、お口の中を特殊なカメラで撮影して、歯型を３Dバーチャルモデルとして画面上に表示します。撮影したデータは、従来型の粘土のような材料（印象材）を用いた歯型の採取データに比べて、非常に精度が高く、作製されるマウスピースの精度も上がりました。その結果、矯正治療の成果向上につながります。

インビザラインによる矯正計画をシミュレーションするソフトです。3DデジタルスキャナーのiTeroで撮影したデジタルデータに基づいて、矯正治療開始から終了までの歯の移動パターンを3Dデジタル表示によって確認していただけます。3D治療シミュレーションのクリンチェックを使用することによって、およその治療期間がわかります。また、患者様にとっては治療後のイメージが明確になるので治療に対するモチベーションアップにもなります。

インビザラインはワイヤー矯正装置と比較して痛みが少ないと言われています。その理由は、1つのマウスピースで歯を動かす移動量が0.25mm以内に抑えられることです。3D治療シュミレーションにより、歯の移動が効率化されているため、過度な力がかからずに、結果として痛みの軽減につながります。

また、歯を効率よく動かすには、弱い持続的な力を用いることが重要であり、痛みも少ないことが判明しています。ワイヤー矯正は、強い間欠的な力がかかる装置も多いのですが、インビザラインは、弱い持続的な力をかけることができるので、痛みに配慮した治療を行うことが可能です。

そして、ワイヤー矯正のように、装置が歯茎や粘膜を傷つけたりすることがない点も、痛みの軽減に役立っていると言えます。

当院では、可能な限り歯を抜かない矯正治療を心がけています。歯科医師の仕事は、そもそも患者様の歯を残すことであり、矯正歯科治療でも同様に非抜歯矯正治療を目指します。また、多くの患者様も「できるだけ歯を抜かずに矯正治療をしたい」という思いがあるように感じます。

しかしながら、歯を動かすスペースが確保できければ抜歯しなければならないこともありますので、歯列や咬合の状態を考慮した上で抜歯・非抜歯の判断をしています。絶対に抜かないことが良いと考えている訳ではありません。なぜなら、無理な非抜歯矯正は、治療の成果に悪影響を与えるからです。

非抜歯治療の選択肢として、IPRという方法があります。これは歯の表面のエナメル質を0.2mm～0.5mmほど薄く削り、歯のサイズを小さくすることで、歯が移動するためのスペースを確保します。もちろん、痛みはほぼありません。過去の報告では、IPRが原因で歯が悪くなったり、虫歯になるという研究結果はありません。逆に、IPRした歯面のほうが滑沢になり、プラークの付着が少なくなり、虫歯になりにくいという報告もあります。